ユング「人生の午後三時」セミナー

ユング「タイプ論」セミナー(40歳以上の管理職向け)

   Zoomコース(8時間)

    「人生の午後三時」 という言葉は、ユングの 『無意識の心理』 という書籍の日本語版に一時つけられていた邦題です。ユングは人生を「少年期」、「青年期」、「壮年期」、「老年期」の4つの段階に分けて考えていました。そして、「青年期」の終わりのタイミングを35歳から40歳にかけての時期と考えていました。現在、当時と比較し,10歳程度寿命が延びているため、この時点は5歳程度年齢を高めて、40歳から45歳と考えることができます。この時点は、言わば、「人生の正午」ということになります。

  人生の正午を超え、壮年期に入っていく時、人は様々な下り坂の経験をします。肉体的にも美的な魅力もピークを過ぎ、学習能力も下り坂に入り、つらい出来事や体の不調を経験したりする機会も多くなります。この時期の過ごし方については、アドバイザーやカウンセラーによって、新しいことに挑戦したり、複数の活動の場を持ったり、ライフバランスの再構築をしたり、栄養の取り方や睡眠に留意すべき等、様々な提言がなされています。しかし、ユングは、この時期に入った後は、「自分の内面をより良く見つめるべきである」とアドバイスをしています。本セミナーは、それを実現するためのセミナーです。

このセミナーで得られること

 このセミナーでは、人生の午後を生きる40歳以降の人たちが、どのように自分の内面を理解し、いかに生き、成長を遂げるべきかを示してくれたユングの思想を紹介します。自分自身の「無意識の世界」を探求し、あなたの人間の幅を広げながら、人生の午後を有意義に過ごすことができるようになります。

  このセミナーで得られる第一のことは、あなたが強く執着しながら活用している心理的機能と態度を認識することです。そして、自分が無意識の世界に追い込んでいた心理的機能や態度に気が付き、それらを少しでも活性化させ、あなたの意思決定や判断の質を高めることになります。この能力開発については、コースの中、そして「管理職向けユング特性レポート」の中で、数多くのヒントを獲得することになります。

  第二のことは、一部の要素に執着していた自分の器を押し広げ、人が本来活用すべき全ての機能に前向きな態度を持てるようになることです。ユングは人類にもともと与えられているすべての機能を開発することを「個性化」と呼びました。これによって、判断力が高まるだけでなく、違いを持った他者の理解を深めることになります。これらは、他者に対する影響力やリーダーシップを高めることにつながり、組織内で貢献度を高め、個人的な価値や魅力、そして人生の質を高めることにつながります。

ユングが伝えたかったこと

 ユングは、この個性化を若い時期に実現することは非常に難しい事だと考えていました。自分が持つ仕事が特定の心理的機能を継続的に活用することを要求することがその一つの理由になります。40歳ごろまでの社会人は、自分の仕事を方法論化しながら、特定の職務に邁進することが多く、その中で何らかの達成を経験していきます。これが、一部の心理的機能への偏り(執着)を生んでいく一つの理由になります。

 

 そしてユングは、次第に体力や気力、その他の能力が下降期に入る壮年期に入った人達に、別の生き方があることを伝えたのです。自分の価値を高める別の方法があり、その新しい方法を用いて社会に関わることの重要性を彼は伝授したのです。

このセミナーの背景

   ユングの特性理論は、彼が探求していた無意識の理論ともつながりを持ちながら、深い内容を持ったものになっています。ユングは心理的機能を、2組の対立した要素からなっていると考えていました。

 

心理的機能のうち、よく使われ、機能を発達させたものが意識に残り、それと対立した機能は無意識の世界に追いやられることになります。そして、それらは発達することなく、未熟なままの状態を維持します。

 

 無意識に追いやられら要素は、ただ無意識に留まっているのではなく、いろいろな場面で意識に飛び出し、多くの場合、それが私達の問題行動につながっていくのです。管理職の問題行動のほとんどは、この無意識の世界に置き忘れている発達の遅れた機能に由来するものなのです。

 

 ユングの特性理論(タイプ論)でも自己の強みを理解することの重要性は無視されていませんが、彼はむしろ、無意識に追い込んでしまった機能に焦点を当てたかったのです。ユングが究極に目指したものは、各個人が全ての機能を発達させることだったのです。彼は、その過程を「個性化の過程」と呼びました。ただし、完全なる個性化を実現することをユングは求めていませんでした。

このセミナーの対象者

・ 壮年期に生きる、40歳以上の方に限定させていただきます。

・ 部下を有する管理職を対象にします。

・ 壮年期に入り、自分をどのように啓発するかを迷っている方。

・ 自己理解を通じ、一人の管理職として、総合力、判断力の向上を図りたい方

・ タイプ論を理解し、活用することで、仕事の効率化を図り、貢献度を高めたい方

・ 様々な心理特性を持つ部下や関係者に対して、効果的な対応力を獲得したい方

・ ハラスメントをはじめとする特定の脱線言動に対しての対応策として活用したい方

Carl Gustav Jung 

カール・グスタフ・ユング

 

  1875年- 1961年 スイス生まれの分析心理学者。無意識、深層心理の世界に光を当てた4者構成の特性論をタイプ論として発表し、特性論に対して大きな影響を与えた。

ユング理論と自己開発(個性化)

   コア・コンセプト・ラボラトリーではユングの理論に忠実になりながら、彼の思索をビジネスに活かせる方法を探求しています。ユングのタイプ論は、他の様々な特性理論と比較し、説得力は群を抜いて高いと判断しています。また、ユングのタイプ論は、単なる分類論でなく、自己開発をにらんだ、向上と成長のための理論になっています。彼はこの自己開発を「個性化」という考え方で私たちに示してくれました。これは、私たちが無意識に追い込み、発達しないままになっている心理的機能を発達させ、意識の中で発達した機能と統合させることを目指したものです。「個性化」は、私たちの能力向上と共に、人格やリーダーシップの向上と、直接つながりを持つものなのです。

 ユングは若いころ、人付き合いが悪く、すぐに癇癪を起す性格を持っていました。しかし、彼は次第に温厚な性格を持ち、最後は高潔でユーモアの精神を持ったバランスのとれた人格に変容し、自らの人生を通じて個性化(全体性実現)の過程を示してくれたともいえます。

ユング理論を通じたリーダーシップと人格の向上

 私どもは、管理職の皆様の自己開発のために、ユングの理論が非常に大きな役割を果たすという強い確信を持っています。ユング理論(無意識論+タイプ論)を通じて、自己を理解し、他者を理解し、自己開発や他者対応、さらに部下育成に大きな力を発揮することができるようになります。

 

 ほとんどすべての管理職の方々が持つ『改善が期待される何らかの言動』を持っています。例えば対人配慮の不足、現実的対応力の不足、主導力の不足、ハラスメント言動などがありますが、これらに解決のきっかけが与えられます。私たちが持つ問題言動の多くは、無意識の世界に置き去りにしている未開発の機能が表面化したものです。ですから、ユングの無意識の研究を理解することを通じて、私たちはより効果的な自己向上や自己開発の機会を得ることができるのです。別の言い方をすれば、無意識の世界に目が向かない限り、ハラスメント言動をはじめとする様々なリーダーシップの機能不全は解決できないのです。そのためには、特定の心理的機能への執着を捨て去り、大きな器を私たちの精神に生み出すことが重要になります。この執着を捨て去ることがこのセミナーの重要なテーマになります。

 このコースを受講する中で、参加者は「自己の理解」を超えて、「人間の理解」へと自然に視野が広がっていきます。全体性を身に着けながら、マネジメントやセールス、交渉の場面で特徴を持った人々に共感的に対応していく力も自然に身に付きます。

 

コア・コンセプト・ラボラトリでは、対人対応力を促進するために活用しやすいツール(「ミーティング準備シート」等)を用意し、参加者に使っていただく仕組みを作っています。

ユングはシンプルでわかりやすい

 ここで得られる人間の理解、あるいは能力の理解についての方法論は、参加者の皆様が一生涯使える方法論となり、財産となっていくことでしょう。

ユング理論がもたらす効果

 ユング理論を学習することは、様々な効果を学習者にもたらします。簡単にわかりやすくまとめると以下のようになります。

 

学習による期待される効果

◇ 自己理解 (意識化の強味の理解)    

      ⇒ 自己理解と人間理解を通じた強みの発揮

      ⇒ 強みの暴走を避け、自己管理する力の醸成

      ⇒ 職務遂行力の増大、自己の強味の理解

◇ 自分の影(発達の遅れた機能と態度) の理解 

      ⇒ 影の要素の自覚

      ⇒ 影の要素のネガティブな作用の自覚と対応力の発達

◇ 人格の陶冶

      ⇒ 全体性の開発

◇ 個性化の推進

      ⇒ 調和のとれた人格の形成

      ⇒ 判断力(多角的判断力)の増大

◇ 影響力の増大

      ⇒ リーダーシップ、販売力、交渉力の増大

◇ ハラスメント言動の低減、解消

      ⇒ リーダーシップ、部下育成力

◇ 他者の共感的理解

      ⇒ 対人対応力の増大

      ⇒ 部下対応力・育成力の増大 

 

 様々な特性のある部下をマネジメントしたり、他者を育成する責任を持つ管理職は、すべての心理的機能をある程度発達させることが求められています。特定の心理的機能にのみ肯定感を有する人には、マネジメントは難し過ぎる仕事と言えます。

<参考>類型論のもたらす悲劇

 ユングが「タイプ論」を出版した後、数多くの類似の類型論が発表されました。後発の類型論はユングが提示した4つの心理的機能だけに注目し、似た類型を別のロジックで紹介したものが多いと言えます。そして、自己のタイプや他者のタイプを知り、異なったタイプに対応することだけに焦点を当てるケースが多く見られます。そのような理論を学習した後では、多くの場合、自分が強みとするタイプに対する肯定感を増強し、そのタイプへの固着化を促す傾向があります。一部の心理的機能だけについて強い肯定感を持つことは、ユングの発想と真逆の発想であり、健全なことではありません。偏った心理的機能に支配されることによって、未熟な機能のネガティブな言動を生み出したり、強く出ている機能の暴走を促進することとなり、それが社員の問題行動や機能不全につながっていくからです。このような方々は、自分が執着する一部の特性を肯定しつつ、その後の人生を歩むことになります。

 類型論を学ぶことによるこの逆効果は、実際の組織の中で頻繁に確認されることなのです。類型論のセミナーに出席させることで、自己肯定感と偏った特性の固着化という現象を強化し、組織を蝕んでいくことになります。ひどい場合は、特性を社員名簿に付けて配布し、固着化を促進している会社まで存在します。また、トップマネジメントが好む類型で組織を構成している会社もあります。管理職レベルでは、自分と同じ類型を持つ部下を尊重し、別のタイプの部下を否定的に受け止めるケースも珍しくないのです。結果として、経営に多角的な視点が抜け落ち、苦労している会社も多いのです。社員の成長、管理職の成長、そして組織の活性化を考えるときには、「個性化」の視点を忘れてはなりません。様々な発想を協働させることができる管理職、様々なタイプの才能を活用できる管理職は、組織の潜在力を効果的に発揮させることができるのです。

 このユングのタイプ論セミナーは、一部の心理的機能への執着を解消することに力を入れます。多くの類型論コースと決定的な違いがあります。

本コースのテキスト

 

 管理職用のコースにはユンタイプ論の一般教材と共に、管理職用の補助教材が用意されています。ユングのタイプ論をしっかり理解した後で、各タイプの管理職がマネジメント上、留意すべきことを学習する流れになります。

 

各タイプの小型カード

 自己認知のためのカード

「意識」の暴走から起こる問題言動と「無意識」の要素が引き起こす問題言動、および心掛けをまとめています。

 

見過ごしがちな、「無意識」の働きによる問題行動がまとまっています。私達の問題行動の大部分はこれが原因となっています。

 

 

 

 他者対応のためのカード

それぞれのタイプの良さと共に、それぞれのタイプの持つニーズがまとめられています

 

ニーズを明確に認識することで、全てのタイプに対し、共感を持つことができ、共感的な対応力が身につきます。

 

コンセプト・カード

 このコースの受講者には、このコースで紹介されたキーポイントをまとめたB6版の小さなカードが提供されます。内容をレビューし、定着させるために、活用していただくものです。弊社は、学習事項の定着にも様々な形で留意しています。

 

このコースの、最も基本的な情報を集めたカードです。

管理職向け特性レポート (要別途発注)

 

 

 

  この特性レポートには、参加者のタイプに合わせて、マネジメントに関する特徴と今後向上できる可能性のある要素が整理されています。それぞれのタイプが持つマネジメント上の良い特徴よりも、一部の心理的機能への執着を排除し、向上できるポイントについてあえて多くの記述がされています。

 多くの管理職は能力向上の必要性を自覚していないと言われていますが、このレポートをベースに自己認知を高め、能力向上計画を立てていくことが可能です。経営者レベルまで活用可能です。管理職の向上を通じて、組織に対し、大きなインパクトをもたらします。

 このレポートには、自己開発に向けた多くのヒントが書かれています。管理職になってから、もはや誰からも指摘されなくなったことがここには示されています。個々の管理職が個性化を推進することに役立てるために、個別に提供されます。

Zoomセミナーの一コマ。

講師

パートナー・コンサルタント、八木優市朗が担当します。詳しくは「コア・コンセプト・ラボラトリー・ジャパンについて」をご覧ください。

 

 

 

 

このトレーニングの開発に関わったコンサルタントによって、

書かれた本です。

 

表紙をクリックすると本の紹介に移動します。

パンフレット

ダウンロード
ユング「人生の午後三時」セミナー
40歳以上の管理職向け「タイプ論」セミナー
ユング LAPT (パンフレット).pdf
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説明会

実際の教材とレポートのサンプルを使って、説明をさせていただきます。Zoom あるいは訪問の形で説明会を実施させていただきます。